鍼灸治療の腰痛

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腰痛で来院する方

鍼灸院に来院される「腰痛」の患者さんは多岐にわたります。

まず病院(整形外科など)、整骨院、マッサージ、整体などで一通りの治療を受けてから鍼灸院へ来院される方が多い印象です。
過去、私の鍼灸院へ来院される患者さんはそういう傾向で、最後に鍼灸院にいらっしゃるような感じでした。

CT(コンピュータ断層撮影)検査やMRI(磁気共鳴画像)検査を受けてから鍼灸院へ来院される患者さんもいます。

医療機関を次々と、あるいは同時に受診するような「ドクターショッピング」をされる方もいるかもしれません。
当然、比較されてしまうのですが…

腰痛の症状

腰痛の症状としては、ぎっくり腰、慢性的な腰痛、坐骨神経痛などの症状でお悩みの患者さんがいます。
急性期の症状から慢性期の症状、痛みの種類も鈍痛、鋭い痛み、動くと痛い、朝に痛い、冷えると痛い、腰全体が痛い、腰の片側が痛いなど様々です。

一例として、腰の痛みだけでなく足の痛みやしびれを伴う「坐骨神経痛」をとりあげます。
坐骨神経痛はひどくなると痛みとしびれで足も重くなり、休憩しながらでないと歩けなくなることもあります。
痛みの種類は鋭い痛みもありますが、ムズムズした痛みもあります。
坐骨神経痛は、片側の腰だけでなく片方の足に症状が出る特徴があります。
なお、両側にでることもあります。

坐骨神経痛は症状となりますが、その原因は腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎分離すべり症などからくることがあります。
坐骨神経の走行に沿って、痛みやしびれが発生するような神経痛の症状です。

腰椎(腰骨)の手術をしたくないということから鍼灸治療を望まれる方もいますし、手術をしたけど変わらなかったという方も鍼灸院にはいらっしゃいます。
残念ながら術後、別の症状が出てしまったという方もいました。

また、内臓の疾患が坐骨神経痛を起こしていることもありますので「がん」を疑いつつ問診で確認するようにしています。
以前、問診後に病院で念のため精密検査を受けてもらった患者さんもいました。
師匠である村田先生は、問診で注意深く確認していました。

腰痛の治療

治療方法は鍼灸師の先生方で違い、特徴があります。
鍼灸治療には、標準治療の様なものがないことから、患者さんに対して分かりずらさや最適な治療機会を失わせてしまっているということがあります。
鍼灸師側として、反省すべきことでもあります。

さて、私が治療するときは、現代医学である程度症状を確認しつつ、東洋医学で身体の状態を把握して、東洋医学の理論を基礎に鍼と灸の技術で治療していきます。
その際、症状のある箇所だけの治療ではなく、全身を治療していきます。
全身のバランスを整えていきます。

東洋医学では経脈や経筋という便利なツボとツボを結んだ線(面)を想定していますが、この線(面)を使って治療していきます。

例えば、東洋医学の考えでは腰は足と何本の経脈や経筋とつながっているとします。
経脈などをイメージしながら、足のツボに鍼と灸をして、症状のある腰にも鍼と灸をしていきます。
このような治療を経絡治療(けいらくちりょう)といったりします。

坐骨神経痛は片側に症状がでることが多いので、足少陽胆経という経脈を使うことが多いです。
ちなみに、私は片頭痛の治療のときも、足少陽胆経を使いながら治療していきます。

(出典)山田光胤・代田文彦:『図説東洋医学 基礎編』、学研プラス、1979年12月1日

鍼と灸の使い分けについては、身体やツボが熱をもっているか、また冷えているかなど患者さんの身体の状態を手がかりとします。
不思議なのですが、火を使う灸に身体の「熱」を取る灸もあります。
炎症しているところにこの灸をすると炎症が抑えられます。
艾(もぐさ)の種類や大きさ、堅さ、壮数(個数)、取るタイミングなどちょっとしたコツがありますが、外傷による腫れや身体のなかの熱を抑えることもできる灸です。

下記で腰痛と坐骨神経痛などの症例を紹介します。
症状、年齢、治療効果、治療回数、経過(予後)など参考になるかと思います。

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